- 2011.12.09
- 風義について
磐梯町の家。
山小屋に、新しい朝が来ます。
高原の風景になじむ総板張りの家は山小屋のたたずまい。厳しい冬を乗り越える木肌のぬくもりと団らんの光に満ちた家は、自然と共に生きることの喜びと苦労を分かち合えるご家族のお住まいです。
朝もやの中、はだしの少女が木の家の扉を大きく開けて駆け出してくる、そんな風景を思い描いてしまう、凛と空気の澄んだ高原の丘稜地帯。
Yさんご夫婦と遊び盛りのお子様2人の1軒家は、すぐ真後ろに秀麗な磐梯山を、文字通り仰いで見るような山裾にあります。標高の高い山麓の厳しい寒さを考えて総板張りにした外壁は風景の中に溶け込んで、温かそうな木肌のぬくもりはほっと安心できる眺め。やがて銀ねず色に朽ちていく時間を楽しみにしています、と奥様は目を細めます。
ワンフロアの1階は、キッチンもアイランドのシンクでオープンに、2階はプライベートと分割。小屋裏の窓からは星が眺められる「アルプスの少女ハイジ」のような暮らしです。「部屋の目的を限定したくないんです」とご主人。お子様が小さいうちは、まるでノマド(遊牧民)のように家の中を転々としながら、眠るのは楽しい思い出になるでしょう。作り付けの家具は少なめに、あとから自身でも手を加えられるよう内壁も無垢材のみ。120年を超える地元会津の材をふんだんに使う壁は、美しい木目とともに造作の細やかさが自慢です。
同じようにこの地で、四季の移りを楽しむご近所さんも立ち寄りやすいように設えたデッキは、玄関先よりは親密に、それでいて気軽に立ち寄れる場に。磐梯山をおさめた北の大きな窓からはオオヤマザクラが、次の春に清楚な花を咲かせるのが何より待ち遠しいようです。
(2階多目的室からの眺め)