風義ブログBLOG

2022.04.24

生活誌。

昨年の秋、以前建築させていただきましたご主人より素敵なメールをいただきました。拝読してみると、なんと!一般社団法人日本木造住宅産業協会にて東北ブロック賞をいただいたと書いてあります。推敲前の作文とのことでしたが、家族の新居を入手するまでの企てや、入居してからの家族の生活史・個人史と、そこでの暮らしや人生が力強く、生き生きと描かれています。これから木の家を入手されるご家族は一読の価値があるかと考えました。そこで、下記に受賞作品を掲載いたします。

 

わたしの木の家

 

わたしの家は木の家です。会津の山で育った木材を使って作った家です。

 

八年前に家を建てると決めたとき、お父さんは地元の木を使って作る大工さんにおねがいしたいと思い、この家をせっ計してもらったそうです。わたしはまだ二才でした。小さくて全部はおぼえていませんが、時々家がどこまでたったのか見に行きました。行くたびに木がたくさん組み合わせられて、げん関、お風呂、リビング・・・と、部屋がどんどんできていきました。とてもうれしかったです。

 

とまりに行った先から帰って来てげん関を開けると、ほのかに木の香りがして、落ち着きます。いつも当たり前になっていて気がつきませんでしたが、わたしの家の木の香りが大好きです。

 

ダイニングテーブルも大工さんが木で作ってくれました。世界に一つだけのテーブルです。ご飯を食べるだけでなく、宿題をしたり、絵をかいたり、何でもこのテーブルでやっています。家族みんなのお気に入りです。弟が赤ちゃんの時にかじってしまった歯形もついていますが、これからも大切に使いたいです。

 

わたしの家のゆかは、あつさ五センチくらいの会津の木材をはり合わせてあります。はだしで歩くと夏はひんやりとするのに、冬はあたたかい感じがします。

 

この前、お母さんとそうじをしたときに、気がついたことがあります。夏にはぴったりとくっついているように見えた木材同士が、冬にはすき間が空いているように見えたのです。このすき間はなぜできたんだろうとふしぎに思っていたら、お母さんが、「木は、気温やしつ度に合わせて、ふくらんだり、ちぢんだりするんだよ。」と教えてくれました。

 

また、「会津は夏は暑くて、冬は寒いから、それに合わせて息をしているんだよ。」と聞いて、わたしはとてもおどろきました。だから、夏にはしっ気をふくんだ木がふくらむのに対して、冬には乾そうして木がちじむのですき間ができたんだと分かりました。

 

会津の山で育った木は、わたしの家の柱やゆかやかべになった後も、しっかりと息をして生きているんだと思いました。そう考えると、木は切り倒された後もちゃんと生き続けて、どの季節でも私が住みやすい家にしてくれているんだなと思いました。

 

木のことを知り、わたしは家の見方が変わりました。木は切り倒されても、木材として形を変えて、わたしの家で生き続けているんだと気づきました。まだまだ知らない木のことをもっともっと知りたいなと思いました。

 

大工さんが心をこめて作ってくれた世界に一つだけの家。大好きなわたしの木の家を、これからも家族みんなで大事にしていきたいです。

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