風義ブログBLOG

2022.06.10

暮らしをデザインする

わたしの好きな建築家のひとり、宮脇檀は著書で建築家について以下のように述べているのでご紹介したい。

・・・私の職業は大学の教師他いろいろなことをしてはいるけれど、基本的には建築家である。

建築家とは建築の設計をする人間だという認識は、最近こそポピュラーになってきたけれど、設計ということが基本的にはまだ皆さんわかっていないらしい。というより、建築の設計とは部屋数をそろえ、柱を立て、屋根を載せ、どういう仕上げをすることだとしか思っていない人が多い。だから、家を設計してくれという相談に、どういう生活をしているのか、どういう生き方をしたいと思っているのかなどと質問すると、なぜそんなことを聞くのかと逆に質問されてしまう事になる。

建物というのは、生活というものを納める容器で、器というものは中身に合わせて作らなければならないのだから、その中身がなんであるかと、ちゃんとした設計などできませんよと、そんなことまで考えるのが設計ですかといった顔をされる。そして、そんなことはどうでもよいから、建て主の注文通りの建物を技術的にまとめてくれれば良いのだという、そんな発注者がまだまだ多いのである。

建物を設計するのには中身の生活を知らなければならない。生活とは何かを知ろうと思うと、人間はどう生きているかということに当然思いがいたる。どう生きているか観察しているとその背景である歴史や風土、文化、社会にいたるまで興味が湧いてきて、文化人類学的というか雑学的な部分へまでのめりこんでしまうのが設計者、つまり建築家・・・(宮脇 2003 ⅲ-ⅳ)

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